小川糸さんの小説、「食堂かたつむり」にマタタビ酒が登場します。
食堂かたつむりに出てくるマタタビ酒は、自家製の7年物で白ワインとマタタビ酒をブレンドしたオリジナルの食前酒としてテーブルに出されます。
私は食堂かたつむりを読んでからと言うもの、ずっとマタタビ酒が気になっていました。
マタタビ酒はどんな味がするのか、作り方や効能は?
そもそもマタタビの実ってどんなもの?
すっかりマタタビ酒の謎にかられて、今回はマタタビの実を採取するところから自家製マタタビ酒を仕込んでみました。
マタタビ酒の作り方を紹介しますね。
マタタビの実と収穫時期
マタタビはマタタビ科の落葉蔦性木本で、日本では北海道、本州、四国、九州の山林に自生しています。
5月頃から夏にかけて緑色の葉が白く粉をまぶしたようになるのが特徴です。
ずっと気になっていた白い粉をまぶしたような葉っぱがマタタビの木だと知ったのは、実はつい最近のことです。
白い粉をまぶしたような葉っぱは遠くからでも目立ちますし、すぐにマタタビだと分かりますね。
マタタビの実は、地域にもよりますが7月中旬の頃から実りはじめます。
私の住む北関東では、8月のお盆前後にマタタビの実を採ることが出来ます。
ちなみに、私がマタタビの実を取りに行ったのは、お盆前の8月上旬でした。
かなり山深い林道をドライブがてらマタタビの実を探しに。
林道の両脇にたくさんのマタタビの木が自生していました。
こちらがマタタビの実です。
よく見るとどんぐりのような形の実とボコボコした実の2種類の実がなっています。
これは、どちらの実もマタタビの実なのです。
どんぐりのような実が正常なマタタビの実で、デコボコした方の実は「虫エイ」と呼ばれるもので、正常なマタタビの実にマタタビアブラムシやマタタビミバエが寄生してコブが出来てしまったものとなります。
「虫エイ」だとか、「虫が寄生」とか聞くとなんだか気持ち悪く感じてしまいそうですよね。
実は、この虫エイの方がマタタビ酒にした時に高い効能が期待できるんですね。
と言うのも、虫エイの方が正常な実に比べてマタタビ酸の成分が空気中に逃げる発散が少ないのだそう。
それだけ成分が残るということですね。
虫エイは木天蓼、または木天蓼子の生薬として利用されます。
正常などんぐりのような実は、この虫エイよりも効能がとても劣るとも言われています。
こちらがサルナシに似た正常なマタタビの実です。
こちらは、虫が寄生して形が変形してしまった虫エイと呼ばれるものです。
別名、虫コブとも言われています。
今回、30分ほどで約500gのマタタビの実を採ることが出来ました。
正常な実も虫エイもどちらも採ってみました。
それでは早速マタタビ酒を仕込んでみたいと思います。
マタタビ酒の作り方
マタタビ酒の基本的な分量は次の目安です。
- マタタビ 500g
- ホワイトリカー 1.8リットル
- 氷砂糖 100g
甘めが好みの方は、氷砂糖を多くしてもいいと思います。
また、最初はホワイトリカーでマタタビをつけ込んでおいて飲む時に砂糖やハチミツを加えてもいいですね。
マタタビ酒の仕込みはマタタビの実を洗って、ホワイトリカーに氷砂糖と一緒に漬け込むだけの簡単な工程となります。
ただ、このマタタビの実、特に虫エイの実を洗うのがかなり手間がかかります。
デコボコしているため、先の細いブラシで丁寧にコブの隙間にある汚れやゴミを取り除いていきます。
丁寧に洗ってもどうしても天然物なので傷などが残ってしまっています。
これはこれで仕方ありません。
こちらは綺麗に洗ったマタタビの実になりますが、茶色い部分が残ってしまっています。
熟成期間が過ぎてマタタビの実を取り除く時に濾しますので、あまり神経質にならずにある程度きれいになったらOKとします。
マタタビを洗うのはとても手間がかかり面倒に思えてしまいますが、このゆったりとした時間も何とも言えず好きな時間です。
洗ったマタタビの実は、よく乾かします。
水滴がついているとカビの原因となるため、よく乾かしてからまたは、キッチンペーパーで水滴をきれいに拭き取ってホワイトリカーと氷砂糖を入れて漬け込みます。
熟成期間は6カ月から1年程度。
熟成期間が過ぎたらマタタビの実は取り除きます。
今からどんな風に仕上がるのかとても楽しみです。
仕上がり具合は後々追記しますね。
マタタビ酒の効能
マタタビ酒は、果実酒の中ではかなり珍味な果実酒となります。
果実酒を楽しむというよりも、効能を目的とした感じでしょうか?
マタタビ酒には、たくさんの効能が期待されています。
マタタビ酒の効能は、疲労回復、滋養強壮、冷え性、腰痛、精神安定、などに良いとされています。
マタタビには、ビタミンA.C、マタタビ酸、アクチニジン、ポリガールなどの有効成分が含まれており、血流改善や疲労回復の効果に期待できると言われています。
嗜好品としてたしなむと言うよりも、薬膳酒としての位置づけのようですね。
マタタビの由来は、疲れた旅人がマタタビの果実を食べたところ旅を続けることが出来るようになったということが由来とされています。
それだけ疲労回復や滋養強壮の効能が期待されているようです。
まとめ
マタタビ酒の作り方と効能を紹介しました。
ちょっと風変わりな果実酒、マタタビ酒。
マタタビ酒が登場する小川糸さんの食堂かたつむりの現実離れした独特の世界感に迷い込んでみませんか?
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